あらすじ
吹雪の中、雪深い山里で道に迷った青年は、
意識を失いかけたところを――不思議な温泉宿に助けられる。
宿の名は「雪月花」。
畳の香り、湯気の立つ食事、どこか懐かしい静けさ。
迎えてくれたのは、雪のように白い女将と、少し不思議な宿の者たちだった。
一夜、また一夜と泊まるうち、
青年はこの宿が雪の中にだけ現れる場所であること、
そして女将が抱えている、消えない“過去”の存在に気づいていく。
雪はすべてを覆い隠し、
月は沈黙を照らし、
花は――散ることでしか、命を語れない。
これは、
雪に閉ざされた宿「雪月花」で紡がれる、
生と死、ぬくもりと痛みをめぐる、静かな異譚。