あらすじ
『正反対の手帳』—合っていないのに、心地いい—
時間も数字も、きっちり整えて生きてきた彼は、
「合計が合わない」ことを見過ごせない。
ある日、同じ手帳を使っているはずの彼女の手帳を、間違って手にしてしまう。
そこに並んでいたのは、予定ではなく、
美味しかったお菓子のパッケージ、
新発売のお菓子へのひと言、
雨の音の感想、
そして――ところどころ合っていない合計。
正反対だ。
なのに、そのページには嘘がなく、
彼の整った手帳にはない温度があった。
管理することで安心してきた男と、
記すことで今日を味わう女。
合っていないはずなのに、なぜか隣にいると落ち着く。
これは恋よりも先に、
「生き方」に触れてしまった二人が、
少しずつ心の余白を分け合っていく、
静かでやさしい物語。