あらすじ

森の奥の古い屋敷に、十六歳の少女・遥はひとりで暮らしている。彼女には、不思議な力があった。涙を流すと、空から雨が降る――それが「涙の魔法」。幼い頃から人々に恐れられ、遥は涙を封じて生きてきた。唯一の理解者だった祖母を亡くし、孤独のなかで涙を堪え続ける日々。  だがある日、森に道に迷った少年・蒼太が現れる。彼もまた「水の魔法」を受け継ぐ魔法使いの末裔だった。蒼太は言う。「涙の魔法は、感情を抑えるものではなく、受け入れるものだ」と。彼の言葉に導かれ、遥は干ばつに苦しむ地を救うため、旅立ちを決意する。  東の山脈の社で、遥は初めて自分の涙を受け入れた。悲しみも喜びも、すべてを混ぜた涙が大地に落ちた瞬間、空は震え、優しい雨が降り注ぐ。蒼太の水の魔法と遥の涙が重なり、渇いた大地を潤す。その雨は、遥の恐れを溶かし、人々の笑顔を呼び戻した。涙が誰かを救う力になる――祖母の言葉が胸に響く。  それから、遥は蒼太と共に各地を巡る。涙の魔法と水の魔法で、人々を助け、枯れた地に雨をもたらす。彼女の涙は、もはや呪いではなく、心のままに世界を癒す魔法となった。春の陽光の中、遥はもう涙を恐れない。涙は、優しさの証。誰かを救う、最も美しい魔法なのだから。

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エブリスタ
エブリスタ2025/12/20
  • 現在の作品雨降らしの少女