あらすじ
チリン、と鈴が鳴った。 色彩と概念が失われ、砂嵐のようなノイズと共に虚無へと還りゆく世界『ヴァニッシュ・ワールド』。
荒野で目覚めた記憶喪失の少女・コトハは、紺色の牡丹振袖を纏い、唯一の武器である「白紙の巻物」を手にしていた。
彼女の魂に刻まれているのは、前世から持ち越した「ことわざ」の知識。
白紙の巻物に「ことわざ」を刻めば、失われた事象を固定する奇跡が起きる。
しかし――世界の判定システム『ロゴス・コア』は、何者かによって悪意ある改ざんを受けていた。
正しいはずの知恵が「誤用」と断じられ、術者の身体が消える『ランダム・ペナルティ』。
言葉の衰退と、歪められた「ことわざ」。
名前を捨てた赤髪の傭兵・クサビを唯一の「楔(相棒)」として、コトハは狂った世界の辞書を綴り直す旅に出る。
それは、己の実在を賭けた、最も危うく美しい再定義の物語。