あらすじ
遠き神代の記憶。空の極み、恒星の熱源を直接演算回路へと変換する超文明統治国家「高天原(タカマガハラ)」は、白金の歯車と論理回路が織りなす不滅の揺り籠であった。
そこに住まう「神々」は、ナノマシンの海で肉体を不老不死へと昇華し、高次元ネットワークによって感情すらも最適化した、進化の終着点である。
だが、その神々しき輝きは、慈悲によるものではない。
高天原を浮遊させ、神々の永遠を支える莫大な霊力(エネルギー)は、地の国「葦原中国(アシハラノナカツクニ)」から、目に見えぬ「天の浮橋(パイプライン)」を通じて吸い上げられた、民の命そのものであった。
下界の民が泥を啜り、痩せ細るほどに、天の神々はより高次元へと進化し、空虚な美を享受する。
それは、神が人を導く秩序ではなく、天が地を喰らうことで成り立つ、血塗られた文明の簒奪であった。
ーーそれから、幾星霜。
絶対無比と思われた高天原のシステムに、一つの「バグ」が生じる。
物語の始まりは、超文明統治国家・高天原の皇子と、1人の少年との出会いよりーーー