あらすじ
「お前のような悪女には、この泥の粥こそが相応しい」
冤罪によって婚約破棄され、最果ての『奈落監獄』へとぶち込まれた公爵令嬢リリアーヌ。
明日をも知れぬ処刑を待つ彼女の前に差し出されたのは、異臭を放つ灰色の粥だった。
だが、彼らは知らなかった。
リリアーヌの中身が、食に命を懸けた「前世の三つ星シェフ」であることを。
「……ふざけないで。わたくしの誇りが、こんな汚物を食事と認めるわけがありませんわ!」
激昂した彼女が覚醒させたのは、伝説の聖調理具『女神の竈(ヘスティア・キッチン)』。
魔力を封じる監獄で、リリアーヌは至高の黄金プリンを、禁断のガーリックステーキを、そして胃袋を掴んで離さない極上カレーを次々と作り出す。
「……足りない。これだけでは、全く足りない。もっと俺を、お前の味で満たしてくれ」
かつて「氷の死神」と恐れられた冷徹な看守長ギルバートは、彼女の料理で呪いから救われ、いつしか重度の「溺愛ストーカー」へと豹変。囚人たちも看守も、彼女の飯のために命を懸ける「美食の軍勢」と化していく。
一方、真の聖女であるリリアーヌを追い出した王国は、深刻な食糧難と不味すぎる宮廷料理で崩壊の危機に瀕していた。
今さら「戻ってきてくれ」と泣きつかれてももう遅い。
わたくしは今、世界で一番甘い監獄で、愛する旦那様を餌付けするのに忙しいんですもの。