あらすじ
「その口づけは、甘い夢ではなく、生暖かい鉄の味がした。」
大公国の防衛線、要衝スコリア。少年兵ヴァルターにとって、教官ルイーゼは窮地から自分を掬い上げてくれる「聖母」だった。しかし、激化する帝国軍の猛攻が、かりそめの平穏を泥濘へと変える。
母の庇護を嫌い、少年たちを自らの戦果のための駒として使い倒そうとするルイーゼ。 彼女の冷酷な本性を知らぬまま、無垢な献身を捧げるヴァルター。
「あなたのためなら、僕は命なんて惜しくない」
その一言が、感情を失ったはずの魔女の胸を突き刺す。迫り来る落日の時。退却命令が下る中、ルイーゼはヴァルターに最後の「命令」を下した。