あらすじ
後悔と罪悪感に押しつぶされかけた人間の前に、必ず一人の男が現れる。自らを「悪魔」と名乗るその男は、静かに囁く。
『戻りたい“72時間前”に、あなたを送り返してあげましょう』『ただし、あなたの残りの寿命を〈半分〉、いただきます』
地方都市・川沿いの町で、祭りの日に起きた橋の崩落事故。以前からこの町では、「たまたま」と片づけるには多すぎる不自然な事故が続いていた。
土木職員、救急医、新聞記者、地場の有力企業の社員、警察、……。取り返しのつかない「72時間」の裏側で、人々は後悔に押しつぶされながら、禁断の契約書にサインしていく。選択を変えれば、未来は変わるのか。
連作短編形式で描かれる八つの「72時間」の物語。繰り返される事故の裏には、地方都市を牛耳る企業グループと、寿命を金融商品として扱う異形のビジネス〈悪魔の派生商品(Devil’s Derivative)〉の存在が見え隠れする。
契約を仲介する悪魔は、なぜ人間の後悔に介入するのか。寿命を削ってまで「やり直したい」と願う人間たちは、本当に救われるのか。そして、この町の“未来”そのものを担保にした危険な取引の終着点とは──。
後悔と欲望、悪魔の冷酷なロジックが交差する、社会派ダークファンタジー連作『悪魔の派生商品』、ここに開幕。