あらすじ
この惑星の自転は遅い。だが、止まってはいない。 東から昇る太陽は、ゆっくりと、しかし確実に西の地平線へと沈んでいく。 日が沈めば、そこはマイナス100度の死の世界。 人類は大地を捨て、巨大な「都市艦」に乗って、沈みゆく太陽を追いかけ続けていた。
黄昏の空で鉄屑を拾う「スカベンジャー」の少年・サクヤは、ある日、雲海に突き刺さった古代の脱出ポッドを発見する。 中には、透き通るような美貌を持つ「亡国の王女」アリアが眠っていた。
「私を、あの空へ連れて行って」
特別な「石の声」が聞こえない落ちこぼれの技術屋・サクヤ。 だが彼には、機械の悲鳴を聞き分ける天性の「聴覚」があった。
これは、スラム育ちの少年が、廃材で継ぎ接ぎした愛機『黒鳶(ブラック・カイト)』を駆り、 エリート騎士や最新鋭機、そして背後から迫りくる絶対的な「夜」を、音速でねじ伏せていく物語。
止まれば凍る。戻れば死ぬ。 終わらない黄昏の空で、最強の逃走劇(レース)が始まる。