あらすじ
幼い頃から、第一王女アリアと隣国の王子レオンは、誰もが疑わない「未来の国王夫妻」として育てられてきた。
政略で結ばれた関係でありながら、二人の間には確かな絆があった。幼馴染として共に過ごした年月の中で、アリアは感情を表に出さないながらも、レオンをただ一人、深く愛していた。
すべてが順調に進んでいるはずだった。
戴冠式と成婚を目前に控えた、その日までは。
歯車が狂い始めたのは、妹のセシルが涙に濡れた顔で、突然アリアの元へ駆け込んできた夜だった。
震える声で語られたのは、信じ難い言葉――
「……レオン様に、愛を告白されたの」
アリアは即座に否定した。信じるはずがない。あのレオンが、そんな裏切りをするはずがないと。
だが、その確信は、夜の庭園で無惨に打ち砕かれる。
月明かりの下。
レオンは、確かにセシルを抱き寄せていた。
後に明らかになる真実は、あまりにも残酷だった。
姉に対する劣等感を長年募らせてきたセシルが仕掛けた、周到な罠。そして――レオンが決して知られてはならない「ある弱み」を、彼女が握っていたという事実。
それは、愛ではなかった。
だが、アリアの未来を根こそぎ奪うには、十分すぎる裏切りだった。