あらすじ
「もし、私の死後にこれを見つけた人がいたら、好きに読んでもらって構わない」
小説×辞書。前代未聞の組み合わせが、ここに。
十三歳の女子中学生が書き始めたのは、世界一どうでもよくて、世界一真面目な「自作辞書」。
そこに載るのは、彼女が気に入った言葉だけ。
「愛」や「恋」をいくつもの辞書で調べ比べては首をひねり、「生きる」という漢字の成り立ちに感心し、「死」という言葉を少し遠くから眺めてみる。
ア行からワ行へ。
五十音順に並ぶ言葉たちは、少しずつ彼女の内側を映し出す。
教室の空気、昼休みの会話、近づいたり離れたりする「友人」の彼との距離。
辞書のページが進むにつれて、言葉の定義は変わり、感情の輪郭も変わっていく。
これは、完成することのない辞書であり、
ひとりの少女の、ささやかで取り留めのない青春の記録。
言葉を残すことは、生きた証になるのか。
数えきれない言葉の中で、自分に向かって光る一つは何なのか。
少し賢しくて、少し面倒くさくて、でも確かに十三歳。
そんな彼女の辞書を、どうぞ、ご覧ください。