あらすじ
女神の祝福に満ちた世界。
人々は救われ、長く穏やかに生きていた。
だが、その世界で、
たった一人、救われなかった少女がいた。
――
人は生まれながらにして祝福の恩恵を授かる。
傷は癒え、病は遠ざかり、老いはゆるやかにしか訪れない。
そして、長く、穏やかに、千年の時を生きる。
しかし、その奇跡はやがて“生きる意味”を薄れさせ、世界は静かに停滞していく。
その停滞を打ち破ろうと動いたのは、皮肉にも反政府勢力だった。
『祝福は毒であり、魂を腐らせる』
その思想のもと、都市を破壊し、魔物を解き放ち、安寧を貪る人々への粛清を続けていく。
混迷の中、世界政府たる祝福律議会《エルメトア》は新たな英雄を求め、
星導機関《アストラル・フェイン》を創設する。
少女アメリアン=フロステルもまた、世界の未来を担う“英雄候補”として選ばれる。
だが、そこは才能を育む学び舎などではなかった。
祈りは届かず、光も意味を持たない。
少女は望まぬまま、世界の“象徴”とされた。
これは、祝福に守られた世界が生み出した、
ひとりの少女の沈黙の物語。