あらすじ
ベリス、42歳。Bランク冒険者。実力はAランク相当だが、ギルド上層部と折り合いが悪く、割の合わない仕事ばかり回されている。膝には古傷があり、「いつ引退するか」を常に考えている。
ある雨の夜、彼は一つの依頼を受ける。異世界から召喚された少年タカシを、辺境の村まで運べ、と。
タカシは「魔力増幅」という固有スキルを持っていたが、それゆえに「魔力電池」として政治利用され、使い潰された。今や感情は死に、自分の意志で何も選べない——まるで壊れた人形のように。
ベリスは、その目に15年前に死なせた弟子の面影を見た。
「お前の人生は、お前が決めろ」
冷淡に見えるベリスは、タカシに命令ではなく「選択」を教え始める。火の熾し方、ナイフの使い方、そして——自分の怒りと向き合う方法を。
だが、タカシを「商品」として狙う追跡者たちが、二人に迫っていた。
老いた冒険者と、心を取り戻し始めた少年。
二人の、短く激しい旅が始まる。