あらすじ
人生を退屈だと感じるのは君がつまらない人間だからだ。
なんてことを言われたので女の子の制服を着て登校するようになった。
名前も顔を女の子っぽいと言われ続けていたので、興味がなかったわけではない。
だから女装してみた。
周りは最初こそ驚いた顔をしていたけど、次第に慣れ始めた。
「葵はそうじゃないかと思った」
いや違うよ。
性同一性障害とかではなくただの趣味だよ。
そんな反論も訳知り顔の生暖かい視線に封じられて、女装をやめるにやめれなくなった。
あと理解がありすぎて俺には理解不能な母親が、嬉々として女物の服や骨格の誤魔化し方など本を買い始めたのでやめられなくなった。
理解という急激な変化はわずか一日の間に起きた出来事で止める暇もなかったのが悔しい。
こうして夕凪葵という流されやすいヘタレ女装少年は、そのまま中学生の三年間を女子の制服で過ごし、今年共学化したばかりの元女子高等学校に進学して、相変わらず女子高生風の男子高校生としての日常を送っていた。
そしてその日。
なにを思ったのか学校をサボって野良猫を追いかけて迷子になった。
猫を見失った場所は川沿いの草の生い茂った廃工場。
近所にこんな場所あったか?
いやねーよ。
などと思いながら歩き続けると、薄いトタン板の壁の向こうから電動式自動回転鋸の音がした。
無駄に漢字を使ったがチェンソーのことだ。
この場所は廃工場ではなく稼働している工場だった。
見つかったら怒られるかもしれない。
そんな思いから怖怖と工場の内部を覗き込む。
するとそこは殺人現場だった。