あらすじ

おれはまともな人間だ。正真正銘、精神も肉体も健康そのもの。ちゃんと野菜も食べるし、酒もほどほどにする。ごく普通の家庭で育ち、安月給でも真面目に働いていた。 ――そして、人を殺した。 夜道で、ただ歩いていただけの男を包丁で刺し殺した。いわゆる通り魔だ。理由は特にない。考えてもよくわからない。ただ、日々の生活の底に澱のようにへばりついた不満が、じくじくと胸の内側を蝕み、この先もこんな日が続くのだと思った瞬間、何かがプツリと切れた。 何もかもどうでもよくなって、ただ幸せそうな人間を見ただけで、胸の奥が焼けるように苛立った。 おれが殺した男がそうであったかどうかは知らない。だが、どうでもよかった。 それより今、おれが奇妙に思っているのは、人を殺し、警察に捕まったおれがなぜか無罪になったことだ。

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小説を読もう2025/12/19
  • 現在の作品責任能力なしで無罪