あらすじ
伯爵家に生まれた少年セルヴィオは、前世の記憶を持ったまま、この世界で生きている。
幼少期から聡明さを見せる彼は、祖母リュシアナの手ほどきで、読み書きや学問を学び始めた。勉強は楽しく、知ることは力になる。そう実感する一方で、剣や槍といった武芸には決定的な才能がないことも、自分で理解してしまう。
だが彼はそれを悲観しなかった。考えること、学ぶこと、支えること──それが自分の役割だと受け入れたからだ。
父エルヴァンは若くして戦功を重ね、やがて辺境伯として新領を与えられ、北方戦線へ赴任する。明るく爽やかで誰からも慕われる父の背中は、セルヴィオにとって誇りであり、目標だった。
「いつか父の隣に立つ」
その思いが、彼をさらに勉学へと駆り立てる。
そして十歳。
レーヴェン王国建国百年を迎える年、セルヴィオは祖母の判断で王都ルミナスへ向かうことになる。王宮図書館、父との再会、そして社交の場──新たな世界が待っている。
セルヴィオはまだ知らない。
この王都行きが、自身の運命を大きく動かす一歩になることを。