あらすじ
【デダシ】
神奈川県、横浜の石川町駅近く。海風が頬を撫でる秋の午後、星乃心奈(ほしの ここな)は制服のスカートを揺らしながら、いつものように駅のホームで電車を待っていた。
彼女はプロテスタント系の女子高に通う三年生。黒髪をポニーテールに結び、鋭い目つきで周囲を牽制するその姿は、まるで「近寄るな」と警告を発しているようだった。
心奈の通う学校は、厳格な校風で知られる中高一貫の女子校。彼女自身、筋金入りの「テーソー観念」を持つ少女だ。恋愛? 興味ない。身体の関係? 論外。そんな価値観を、彼女は「心奈マインド」と密かに呼んでいた。
そんな心奈の前に、ある日突然現れたのが高橋悠真(たかはし ゆうま)だった。一駅離れたカトリック系の男子校に通う三年生。背が高く、優しげな笑顔と少し天然な性格が特徴の彼は、友人の紹介で心奈と知り合った。
「ねえ、星乃さんって、ツンデレだよね? なんか、冷たくしてるけど本当は優しいんでしょ?」
初対面でそんなことを言い放った悠真に、心奈は眉をひそめた。
「は? ツンデレ? 何それ。気持ち悪いこと言わないでくれる?」
彼女の声は冷たく、まるで氷の刃のようだった。だが、悠真はめげない。