あらすじ
この作品は第5回日本SF作家クラブの小さな小説コンテストの共通文章から創作したものです。
https://www.pixiv.net/novel/contest/sanacon5」
人口惑星『ビブリオボルテックス』の深奥で、偉大なる執筆者(ザ・グレートライター)が宇宙を『執筆』している、といううわさが定期的に流れていた。
図書館星から書物を発掘する図書館深部アタック隊のジローは、バディであるエリオと一緒に今日も危険なビブリオボルテックスに潜る。
ザ・グレートライターを信仰するバクトル人のエリオは、ザ・グレートライターとビブリオボルテックスを同一視し、神ならぬヒトにすぎない彼との最初の面会を焦っていた。他の誰からも影響を与えられない永世中立なままでいてほしいと願う為に。
空間転移トラップにかかって不本意にビブリオボルテックスの深奥に辿りついたジロー達を待っていたのは、ザ・グレートライター本人だった。
ジローは、彼が「自分はここにいる」といううわさを自らばらまき、定命である自分の後継者をおびき寄せているのだと覚る。実にザ・グレートライターはその方法で何代も代を重ねていた。
後継者になろうとするエリオを、ジローは止める。ここらで執筆をやめたらどうだとザ・グレートライターを挑発するが、彼は聞かない。疲れ切った彼はねぎらいの言葉に飢えていると喝破したジローは「お疲れさま。あなたの物語はとても面白かった」と彼をねぎらい、それを正面から受けとめたザ・グレートライターは執筆を止めて消滅するのだった。
この体験を一編の冒険小説として書きあげた、作家としてのジロー。
ザ・グレートライター亡き後のビブリオボルテックスは書物が生まれなくなり、冒険の歴史は幕を閉じた。
エリオに「実は自分が作家としてザ・グレートライターを継ぎたかったんじゃないか。宇宙を滅ぼせる力を手にしたかったじゃないのか」と訊かれたジローは、それは自分が子供の頃に崇めていたヒーロー達にかけて、したくない事だ、と否定するのだった。