あらすじ

魔王は討たれ、戦争は終わった。 街は賑わい、酒場には歌が戻り、子どもは広場を走っている。 平和は確かに存在している——ただ、どこか薄い膜のようなものを挟んで。 城の奥に、ひとつの扉がある。 見張りもいない。掃除もされない。 それでも扉は「閉じたまま」であり続け、世界の一部になっている。 そして僕のポケットには、奇妙な刻みの鍵がある。 王に命じられたわけでも、神託があったわけでもない。 気づけば、僕が持っていた。 それが「最後の扉の鍵」と呼ばれていることだけを、僕は知っている。 開ければ、何かが確かめられるのかもしれない。 だが、勇者の遺した手紙は短い。 「扉を開けるな。鍵は預ける。理由は書けない。」 勝利のあとに残ったものは、祝福ではなく、説明不能な保留だった。 戦っていない僕が、なぜそれを預かっているのか。 扉の向こうに何があるのか。 そして、「平和」とは本当に終わりなのか。 これは、 魔王討伐の“その後”に取り残された鍵と、 勝利の時代に居場所を失った人間の静かなファンタジー。

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カクヨム
カクヨム2025/12/17
  • 現在の作品勇者がいなくなった世界で、鍵を預かる男