あらすじ
クロノヒョウさんの近況ノートお題「恋だ愛だは品切れ中」で書いてみました。
「申し訳ございません。ただいま『純愛』はメーカー欠品となっております」
クリスマスの夜。街は安っぽいジングルベルと欲望で塗り潰されている。
高校生にして、プロの「恋愛代筆屋(ゴーストライター)」である九条レンにとって、愛とは脳内物質を誘発するためのプログラムコードに過ぎない。
他人の恋を完璧な脚本(スクリプト)で成就させる彼自身の心は、皮肉にもずっと「品切れ(ソールド・アウト)」のままだった。
そんな彼のもとに、学園のカーストトップから特級の依頼が舞い込む。
ターゲットは、有栖川セナ。
財閥の令嬢にして、向けられた好意の裏にある「嘘」を瞬時に見抜く『氷の女王』。
「彼女に台本の暗記は通用しない。ならば――」
レンが取り出したのは、超小型骨伝導イヤホン。
依頼人に装着させ、呼吸・視線・セリフのすべてをリアルタイムで指示する『完全遠隔操作(フル・リモート・コントロール)』による攻略だった。
完璧な計算。共鳴する孤独。作戦は成功するはずだった。
物理法則がもたらす「0.5秒の遅延(ラグ)」を、彼女に見抜かれるまでは。
愛が枯渇した世界で、嘘つきたちが手に入れた「リアル」の物語。