あらすじ
産業革命の煤煙と、古き迷信の霧が立ち込める帝都。
人々は依然として「悪魔」を恐れ、教会に救いを求めていた。
教会異端審問局に所属する少年─エリオット。
彼は史上最年少の審問官でありながら、聖職者にあるまじき秘密を抱えていた。
すなわち「神も悪魔も信じていない徹底的な唯物論者である」ということだ。
彼にとって、悪魔とは地獄の使者ではない。
「悲劇的な事実」を、人間の「思い込み」により発生するただの『バグ』に過ぎないのだ。
「悪魔など存在しない。ゆえに君が恐れる根拠も存在しない」
論理という武器を片手に、淡々と対象を論破し、精神的に追い詰めるその姿。
それは皮肉にも、民衆の目には「悪魔さえも畏縮させる沈黙の聖人」として映るのだった。
これは信仰心ゼロの少年が、誤解と実績を積み上げ、やがて教会の頂点へと祭り上げられていく、不本意な聖人伝説である。