あらすじ

魔術が存在する世界。 しかしその中には、魔法を「奇跡」ではなく「管理すべき資源」として扱う、 現代的な合理主義国家が一つだけ存在していた。 その国家に属する部隊――ノーンクロス。 彼らは精鋭でも英雄でもない。 魔法が使えない旧人類と、使える者が制度のもとで共存し、 国境地帯や未踏領域を歩き、地図を埋め、人を助け、記録を残す。 主人公のハレは、魔法を使えない旧人類の兵士だ。 彼は剣でも魔法でもなく、測量器具と鉛筆を携えて境界を歩く。 未知は敵ではない。 曖昧さこそが、彼の仕事の対象だった。 ノーンクロスの任務は地味だ。 丘を越え、川の名を聞き、倒れた荷車を直す。 だがその一つ一つが、 「伝承」と「事実」が混ざり合うファンタジー国家側の世界を、 少しずつ現実へと引き寄せていく。 魔法国家の人々にとって、 銃を持ち、魔法を使わず、記録だけを残すノーンクロスは異物であり、 同時に頼れる存在でもある。 旅の途中で、部隊の仲間は入れ替わる。 地図には、地形だけでなく、 かつてそこにいた仲間の名が残る。 なぜこの国は、世界を征服しないのか。 なぜノーンクロスは、英雄にならないのか。 なぜハレは、魔法を学ばなかったのか。 それらの問いに明確な答えは与えられない。 だが、白紙が埋まっていくたびに、 世界は少しずつ「理解できる場所」になっていく。 これは、 世界を救う物語ではない。 世界を知るために歩く者たちの、静かで明るい異世界紀行譚。

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小説を読もう2025/12/16
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