あらすじ

母を亡くして一年。父の再婚で家の空気が変わり、悪意がないぶん逃げ場もなくなった狩塚美桜(かりづか みお)は、息が浅くなる日々のなかで「ちゃんと笑って」という言葉に刺され、ある日ふっと家を出る。向かった先は、母の故郷・湖東町(ことうちょう)。駅前とアーケード商店街が町の中心で、二両編成の電車と自転車が日常の足。そこで叔父夫婦が営む洋食屋「洋食きりさき」に転がり込み、転入生として県立湖東南高校の三年に入る。 湖東町は、観光地のきらびやかさより通学と通勤の匂いが前にある。中心地は駅前とアーケード商店街。シャッターは増えたが、雨の日は落ち着き、古本屋や衣料品店、たこ焼き屋が点々と残って町の記憶の棚になっている。 そんな町の文化は「噂は回るけど踏み込みすぎない」。困っている人には質問ではなく差し入れが増える。誰も派手に傷つけない代わりに、みんな少しずつ我慢している。だから、たった一皿のオムライスが、思った以上に人を救う。そんな世界で、美桜は“謝るための言葉”ではなく、“選ぶための言葉”を探していく。

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小説を読もう2025/12/15
  • 現在の作品湖東町・洋食きりさきのオムライスは、言えない気持ちをケチャップで書く――転入生の私が「申し訳ない」を卒業するまで