あらすじ
吾輩は剣である。名前はまだない――いや、『イグノール(無視)』とでも呼ぶがいい。
ここは、死んでも記憶を持ったまま生き返る「転生者」どもが支配する世界。
どいつもこいつも「前世の知識」とやらをひけらかし、同じ歴史、同じ戦争、同じ過ちを繰り返す。
ああ、退屈だ。人類の愚かさには、錆びる暇さえない。
そんな吾輩をジャンク市場で拾ったのは、イニトという小僧だった。
チート能力なし。魔力なし。才能なし。
この世界では絶滅危惧種に近い、記憶を持たない「人生1回目(オリジナル)」の凡人だ。
だが、この小僧は面白い。
剣術の才能がないからと、吾輩を盾にし、拳法で殴り、泥臭い罠を張り巡らせる。
「天才勇者」と呼ばれる親友に勝つためなら、英雄の道などクソ食らえと裏街道を突っ走る。
おい、小僧。
その無様なあがきで、この停滞した世界をぶっ壊してみせろ。
計算も予測も通用しないお前の一撃だけが――吾輩の退屈を殺せるのだからな。