あらすじ
侵食と呼ばれる超常災害が常在する世界で、人類は延命を続けている。
神前イツキは、生体廃棄物処理班として価値を失った存在を処理する青年だ。
英雄でも選ばれし者でもない。
彼はただ、壊れた世界の中で合理的に生きていただけだった。
ある日、彼は「誓約」とは異なる力に触れる。
それは人類が一方的に消費される制度ではなく、
対等であるがゆえに致命的な選択だった。
契約によって得られるのは救済ではない。
人としての立場を削り、世界から逸脱していく自由だけだ。
侵食は止まらない。
正義も英雄も、この世界では機能しない。
それでも世界が続く理由があるとすれば、
それは一人の例外が、最適化という名の選択を重ねているからに過ぎない。
これは、世界を救わない契約者が、
人間でなくなっていく過程を記録する物語。