あらすじ
人と人との約束が、簡単に交わされ、簡単に忘れられていく街。
少女ユイは、背中に翼を持って生まれた。
だがその翼は、空を飛ぶためのものではない。
誰かが交わし、守られなかった約束が、羽となって彼女の背に生えていく――
それは、他人の約束を引き受けてしまう体質の証だった。
ユイは街の中で、約束が破られるたびに羽を増やし、
その重みで少しずつ前に進めなくなっていく。
それでも彼女は、約束を忘れることを選ばない。
「誰かが覚えていなければ、約束は最初から無かったことになる」
そう信じていたからだ。
ある日、ユイは自分の翼が「見える」少年と出会う。
彼は、約束を終わらせる方法を探していた。
守られなかった約束を、きちんと終わらせることで、
人を縛る痛みから解放する――それが彼の役目だった。
約束を背負い続ける少女と、約束を終わらせる少年。
正反対の二人は、街に残された約束を辿りながら、
「覚えていること」と「手放すこと」の意味を知っていく。
やがてユイは、自分の翼に刻まれた
最初の約束と向き合うことになる。
それは、誰かに与えられたものではなく、
彼女自身が、かつて自分に交わした約束だった。
約束を覚え続けることは、優しさなのか。
それとも、前に進めない理由なのか。
翼の重さの先で、ユイが選ぶ答えとは――。