あらすじ
「あなたって本当に地味よね。私、もっとキラキラした人生を送りたいの」
相田湊は、付き合っていた読者モデルの華恋から一方的に別れを告げられた。理由は「地味でつまらない」から。確かに派手さはないけれど、俺なりに精一杯だったつもりなのに──。
失意のまま帰宅すると、隣の部屋から異臭と物音が。心配になって覗いてみれば、ゴミ屋敷化した部屋で銀髪の美少女が飢えて倒れていた。とりあえず自室に運んで温かいシチューを作ってあげると、彼女は涙を流しながら言った。
「こんなに美味しいご飯、初めて……。これからも、作ってくれませんか?」
数日後、彼女の部屋にある配信機材と銀の盾を見て気づく。この子、登録者300万人を超える世界的トップVTuber「白銀ノエル」じゃないか。「氷の女帝」と呼ばれるクールな配信者が、俺の前では子犬のように甘えてくる。
「湊くん、撫でて……。あなたがいないと、私、何もできないの」
胃袋と心を完全に掴まれた彼女の猛アタックで、気づけば恋人同士に。
ところが問題が発生する。配信中、クールキャラで通しているノエルが、俺の話題になると途端に声が甘くなるのだ。
「昨日ね、ダーリンが看病してくれて……んふふ、幸せだった」 「今日のお弁当も最高。ダーリン、料理の天才かも」
無自覚にノロケを垂れ流す彼女のせいで、ネットでは「聖人彼氏」として俺(正体不明)が崇拝され始める。
そんな中、元カノの華恋が「ノエルの彼氏って、もしかして……」と気づいて復縁を迫ってくる。当然断ったが、逆上した彼女がSNSで「元カレにストーカーされてる」と嘘の被害報告を投稿。
それを知ったノエルが配信で涙ながらに語ると、ネットの特定班が動き出した。華恋の過去投稿とノエルの発言を照合し、真実が判明する。
「ノエルの彼氏=華恋が『地味』と捨てた元カレ」 「華恋のストーカー報告=完全な嘘」
華恋のSNSは炎上し、モデル契約解除。一方、俺とノエルは今日もこたつでみかんを食べている。
地味と言われた俺の日常が、世界一のVTuberにとっては何よりも大切な宝物らしい。
※元カノは300万人のファンによって勝手に社会的制裁を受けますので、ストレスフリーでお楽しみいただけます。