あらすじ
眠れない夜にだけ現れる、不思議な「水槽食堂」。
深夜一時半、家族が眠るベッドを抜け出した私は、ふとその扉を開いた。
壁一面の水槽を泳ぐのは、私の心。
黒い棘を持つ魚──十年以上抱え続けた「後悔」。
そしてその影でひっそりと輝く、黄金色の小さな魚──かつての友への「感謝」。
無邪気な言葉に傷つき、逃げるように絶縁した過去。
忘れたかったのに、忘れられない想い。
トラ猫のマスターが差し出した“甘くて少し塩味のあるショコラ”とともに、
私はようやく知る。
後悔と記憶は、敵同士ではなく、寄り添って泳げるのだと──。
胸のつかえが、すうっと溶けていく深夜の癒やし物語。