あらすじ
数千年前、人類・魚人・感族は決別した。
人類の技術発展による勢力拡大は、海と空を支配していた二種族を地球から追放し、三種族の共存を終わらせた。
やがて魚人のいない海は枯れ、
感族のいない空は荒れ、
地球は、人類だけでは生き延びられない星へと変貌していく。
人類は地球を救おうとした。
魚人と感族も、地球を見捨てるつもりはなかった。
ただ――主導権を握る者が、違った。
人類は「共存」を掲げ、
感族は「管理」を選び、
互いに地球を救うという目的だけを共有したまま、手段で決裂した。
話し合いは交渉と呼ばれ、
拒絶は敵意とみなされ、
やがて再び「戦争」という選択が正当化されていく。
感族は、自らの中から戦うためだけの存在を生み出す。
感情を削ぎ、死を遠ざけ、核という致命的な弱点を抱えた半不死の兵。
それが《感無》である。
エーレスは、その感無のひとりだった。
人類の理想も、感族の怒りも、彼にとっては等しく――目的のための手段でしかなかった。
人類は判断する。
感無を従えれば地球は救える。
だが、その中でもエーレスは「管理できない存在」だと。
彼ひとりを殺すためだけの兵器が造られ、
その選択は、地球を救うための戦争を、取り返しのつかないものへと変えていく。
人類と感無。
目指した未来は同じだった。
それでも、同じ未来を信じたからこそ、互いを許せなかった。
これは、
地球を救おうとした者たちが、
「救い方」を間違えたかもしれない世界の記録である。
――感無は今日も、生き続けている。
その選択が、正しかったのかどうかを、確かめる者はいない。