あらすじ
勇者は、選ばれる存在ではない。
この世界では、勇者は作られる。
国家は戦争、防衛のために、勇者を量産する。才能を数値化し、役に立たなければ迷いなく廃棄する。そこに、善意も英雄譚も存在しない。
勇者製造施設で生まれた一人の少年は失敗作と判定され、廃棄ルートへ送られる。本来なら、名も残らず消えるはずだった存在。
しかし、偶然見つけた抜け穴から、彼は外の世界へとこぼれ落ちてしまう。
国にも、勇者にも、名前を与えられなかった少年。
彼は、生きていいとも、死ねとも言われないまま、世界に放り出された。
巨大な施設の外には、彼を必要としない現実が広がっている。仕事も、身分も、居場所もない。
選ばれなかった勇者は、何を壊し、何を守るのか。
これは英雄譚ではない。
世界の前提そのものを問い返す物語だ。