あらすじ
冬のコンビニの灯りと、君の「おかえり」。
壊れた心を抱えた二人が、少しずつ温め合う、ひそやかな再生の物語。
二十六歳の中国人女性・李星光は、夫の不貞で突然の離婚。
ビザと生活費に追われながら、東京の古いアパートで「帰りたい」と呟く毎日を送っている。
その隣に住むのは、高校二年生の後藤祐也。かつていじめから彼をかばい、「守る側」だったはずの少年だ。
三年ぶりにコンビニで再会した彼は、背も伸びて、どこか冷たげな雰囲気をまとっていた――けれど、その奥にある孤独は変わっていない。
ある冬の夜、祐也が星光に差し出したのは、ビールではなく温かい紅茶。
母との確執、学校での居場所のなさに傷ついた彼と、離婚と在留資格の不安に揺れる彼女。
コンビニ前の街灯と、小さな鍋ひとつを囲む時間の中で、「守る側」と「守られる側」は、少しずつ互いの拠り所へと変わっていく。
しかし現実は甘くない。
祐也の母が「あの外国人」と星光を激しく非難し、さらに星光の職場には元夫・川平がマネージャーとして現れる。
押し寄せるプレッシャーの中で、祐也は決意する。軽音部のクリスマスライブで、自作の歌「かけら」を歌うことを。
「砕けたあとでも、つなぎ合わせたら、
ちっちゃくても、ふたりの明日、ちゃんと見える」
客席でその歌を聞く星光のスマホに届いたのは、一通のメッセージ。
「来てくれたなら、出口で待ってる。」
国籍も年齢も違う、傷だらけの二人が、東京の片隅で見つける小さな「帰る場所」とは――。
ふたりだけの「おかえり」を探していく、心温まるヒューマン・ストーリー。