あらすじ
王都サルヴァティオの貧民街。その腐臭漂う片隅で、少女アシュベルは生まれた。
誕生の瞬間から異形の翅音に包まれ、「忌み子」として世界に拒絶された彼女。その傍らには、いつも蠅や蛆、名もなき蟲たちが、うねる影のように群れ集う。人々はそれを災厄と呼び、教会は祝福さえも拒んだ。救いはただ、貧しい両親と、たった一人の侍女シエラのぬくもりだけだった。
しかし、娘を守ろうとした両親の祈りは王の理に踏み躙られ、やがて母は荒野に打ち捨てられ、蟲に喰われる結末を迎える。
愛も祈りも届かないと知った夜、少女の瞳から光が消えた。そして——「世界に拒まれたもの」として覚醒した彼女は、その身ひとつで蟲と屍を従え、無邪気な遊戯を始める。
森へと落ち延びた忌み子は、森の主さえも苗床とし、聖域を侵蝕していく。癒やし手のエルフ・オルフェナを「お友達」として蟲の絨毯に縫い止め、生きたまま苗床に変えながら。
「ねぇ、ずっと一緒だよぉ」
歪んだ母性と純粋な狂気が、世界そのものを新しい「巣」へと組み替えていく——。
これは、祝福と呪詛の境界を曖昧に溶かし、蟲と聖性が螺旋を描く、極上のダークファンタジー。