あらすじ
貴族社会がすべてを決める国で、
伯爵令嬢リラ・ハーシェルは「平凡で目立たない娘」として生きていた。
母から受け継いだわずかな〈まじない〉の力と、本来の美しさ、そして文武両道の才をすべて隠しながら。
婚約者もなく、社交界では壁の花。
だが彼女自身は、この息苦しい貴族社会に飽き飽きしていた。
ある日、王族主催の舞踏会で起きた小さな事件をきっかけに、女嫌いで知られる公爵家の嫡男・フレデリックと出会う。
結婚を義務と割り切り、愛を不要と考える彼。
婚約そのものに価値を見出していない彼女。
愛も理想も求めない二人が選ぶのは、互いに干渉しない、合理的な関係。
――ならば、形だけ整えればいい。
偽りから始まる婚約は、やがて誰の予想も超える形へと変わっていく。
これは、「必要なだけの婚約」から始まる、静かで狡猾な令嬢と、不器用な公爵の物語。