あらすじ
世界は、完璧な役割を愛する。そして、俺の歪んだ感情をバグと定義した。
俺――イオス・リンドバーグ(本物)は、勇者リアス・オルブライトの親友という役割を担っていた。だが、世界から存在そのものを消された。俺の代わりに、システムによって感情も記憶も完璧に再現された偽物が立てられ、リアスの隣で理想的な物語を歩み続けている。
光の届かない場所から、俺は監視する。リアスが偽物に笑いかけるたび、俺の心は、憎悪と、それでも彼に嫌われたくないという矛盾した渇望に焼かれる。
だが、その矛盾した感情こそが、システムが設計した完全な世界にとっての、唯一の異物だったのだ。
観測者だった男が、自らのバグたる感情を武器に変え、世界を支配する役割の論理に戦いを挑む物語。
偽物を排除し、親友の魂を取り戻す旅路は、やがて世界の深奥に潜む、システムの真の正体へと辿り着く。
俺が望むのは、勇者の物語ではない。リアスが、俺という異物を愛し、憎む。その、誰にも邪魔されない、真実の感情だけだ。
システムよ。お前が定めた法則を、俺のこの感情で一つ残らず上書きし直してやる。