あらすじ

寛永十六年。 徳川三代将軍・家光の治世下、表向きは太平の世。しかしその裏で、剣豪・柳生十兵衛三厳は、将軍の密命を受け、幕府に仇なす不穏分子を「未然に始末する」という血塗られた旅を続けていた。

公には「廃嫡」の身として大和・柳生の庄に蟄居しているはずの十兵衛。その心は満たされないまま、無益な殺生に飽き、愛する妻・お市と娘たち、そして剣の研鑽の日々を求めていた。彼は「天下の剣豪」としての宿命と「一人の父」としての願いの間で激しく揺れ動く。

そんな十兵衛を、彼の家、柳生の庄の山門前で待ち伏せていたのは、年端もいかぬ、幼い娘の刺客「お菊」だった。
命を賭して襲いかかってきたお菊を、十兵衛はあえて峰打ちで昏倒させる。そして、自害すら厭わないお菊の悲痛な事情を察し、彼女の命と家族の安全を守るため、「必ず助けに戻る」という「約束」を交わす。

約束を果たすため、十兵衛は単身、黒幕を探る旅に出る。
彼を狙う刺客の群れは、驚くべきことに、本来は犬猿の仲である伊賀者と甲賀者の両勢力。しかも彼らは十兵衛を「裏柳生頭領」と誤認し、討とうとしていた。なぜ、忍びの二大勢力が手を結び、将軍家指南役の家に伝わる「裏」の組織に十兵衛が祭り上げられているのか?

旅の道中、弟・又十郎の重圧、病床の弟・左門の悲壮な決意、そして尾張柳生の当主・兵庫助や、知恵者・沢庵和尚との会話を通じ、十兵衛は陰謀の影の深さに直面する。やがて彼は、自身を襲う謀略が、柳生家の根幹を揺るがすほどの巨大な渦であることを悟る。

「真実」と「約束」を胸に、一人の父として、剣の達人として、十兵衛は巨大な陰謀の核心へと足を踏み入れる――。

全18章。毎日20時頃に2章ずつ公開予定です。

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アルファポリス
アルファポリス2025/12/13
  • 現在の作品柳生の影 ―十兵衛旅日記―