あらすじ

下顎に走る鈍痛と、頭を包む柔らかな感触。  不登校の高校生・西崎楓(にしざきかえで)が意識を取り戻した時、視界に映ったのは青空と、紫煙を燻らせる見知らぬ美女だった。 「か弱き乙女の武器は拳よ」  路地裏で暴れていた楓を瞬殺し、膝枕で介抱していたのは、街で噂のNo.1キャバ嬢・雫凛々(しずくりり)。  彼女は圧倒的な美貌と、極真空手師範代の強さを持ち、そして――物体に宿る「記憶」を視て、映し出す不思議な力の持ち主だった。  ある事件のトラウマから心を閉ざし、世界を斜めに見ていた元天才少年の楓。  夜の世界に生き、他人の心に寄り添いながらも、幼い頃の記憶を失っている凛々。 「君、泣きそうな顔して殴ってた」  強引なお詫びから始まった関係は、彼女の力による不思議な「思い出の映写会」を通して、止まっていた互いの時間を動かし始める。  これは、傷ついた少年と過去を持たない女性が紡ぐ、優しくて少し切ない、再生のシネマ。

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カクヨム
カクヨム2025/12/13
  • 現在の作品硝子の記憶、泡沫のシネマ