あらすじ
三十代を過ぎた「吉田修二」は、仕事と家を往復するだけの、代り映えのない毎日を送る平凡なサラリーマン。
唯一の気晴らしは、夜にログインするオンラインゲーム。
修二はそこで「アヤ」というプレイヤーと出会う。
アヤは、よく笑い、誰とでも気さくに話す女性だった。
一緒にクエストをこなし、通話で雑談をするうちに、ゲームはただの趣味ではなくなっていく。
疲れた仕事の愚痴、何気ない日常の話、冗談混じりの笑い声。気づけば、彼女の声を聞くことが一日の終わりの習慣になっていた。
明るく振る舞う一方で、アヤはときおり言葉を濁し、どこか無理をしているようにも見えた。放っておけずに話を聞くうち、修二は彼女との距離が少しずつ縮んでいくのを感じていた。
そんなある夜、いつもの通話の終わり際、アヤがぽつりと切り出した。
「……ねえ、ちょっと相談したいことがあるんだけど」
その一言が、修二の日常を静かに、しかし確実に変えていくことになる。