あらすじ
侵食者の出現によって、人類は滅びなかった。
代わりに、生き残ることだけに最適化された世界を手に入れた。
都市は装甲化され、武器と防壁は進化したが、
農地と食料生産は常に破壊され、
人々は飢えと死を前提に暮らしている。
人類は「位階」という指標で個を管理する。
それは単なる強さではない。
勝利、生存、選択、犠牲。
どれだけ世界に関与し、どれだけ死線を越えたかが記録される。
しかし、能力を持つ人間は少数派だ。
大半の人類は無能力のまま働き、
侵食者の襲撃で、何の意味もなく死んでいく。
二十三歳の青年、神前イツキ。
能力を持たず、ギルドでは雑用をこなすだけの存在。
就職にも、人生にも、うまく適応できなかった男。
彼は、侵食者との遭遇で死にかけた瞬間、
世界の想定外に踏み込む。
イツキだけが持つ力。
侵食者と契約し、仲間として現界させる能力。
最初に現れたのは、
原初律界に属する高位存在、フィリア=エクスノート。
記憶を失いながらも、
世界の歪みを理解している少女だった。
侵食者は単なる敵ではない。
原初律界、黒冥相界、光冠界、深想澱界、霊機環界、翠獣幻界。
それぞれ異なる思想と目的を持つ派閥が、
人類の世界を戦場としている。
人類側のギルドは、
管理できない存在を恐れる。
複数派閥と契約し、
位階が正しく観測されないイツキは、
危険でも英雄でもない、“不具合”として記録される。
この世界は、優しくない。
仲間も、知人も、平然と死ぬ。
正しい選択が、報われるとは限らない。
それでもイツキは、生き残る。
これは、
管理されない契約者が、
生き残ることで世界の位階を書き換えていく物語。