あらすじ
『花暁症候群(かぎょうしょうこうぐん)』——
感情の波で記憶が花びらのように剥がれ落ちる奇病。
幼い頃に姉をその病で喪った少女・**翠(みどり)**は、
強い感情を抱くことを恐れ、心の奥に“鍵”をかけて生きていた。
そんな彼女の前に現れたのは、
同じ病を抱えながらも光のように笑う少女・夕凪(ゆうなぎ)と、彼女を必死に支える幼馴染の朱莉(あかり)。
朱莉は「昨日」をすぐに忘れ、
夕凪は「今日」を必死に守り、
翠は「明日」が壊れるのを恐れていた。
三人の出会いは、
静かに、しかし確実に彼女たちの運命を変えていく。
そして翠は姉の最期の言葉
「あなたの春は、あなたじゃない誰かが連れてくる」
の意味を、少しずつ理解していく。
記憶は散る。
恋は残る。
消えていく昨日と、手を伸ばしても届かない明日。
その狭間で三人は、それぞれの“春”を探し始める。
これは、
忘れてしまう少女と、忘れられない少女と、
忘れたくても忘れられない少女の
すれ違いと救いの物語。