あらすじ
生まれ落ちたその瞬間、人間の価値がひとつの数字で決められる世界。
HVI が低い者は──もはや「人」とは呼ばれない。
赤羽アリス。
歴史上かつて存在したことのない、数値 0 を持って生まれた異形の子。
本来なら、産声を上げた瞬間に処分されているはずだった。
だが、彼は生きていた。
なぜかは誰にもわからない。
彼が何者なのか、誰も知らない。
そして彼自身も──答えを持っていなかった。
十六年後。
アリスは「十字国学園」へと放り込まれる。
天才たちが殺し合う闘技場。
感情そのものが武器となる場所。
そして“ゼロ”など、本来なら存在を許されない領域。
だが──
彼は痛みを恐れない。
死を恐れない。
いかなる神経的圧力にも揺らがない。
深淵のように黒いその瞳は、世界のあらゆる規則を見透かしているかのようだった。
生き残りをかけた闘争の中で、アリスが輝くのは力でもなければ、幸運でもない。
HVI というシステムそのものを揺るがす、たったひとつの理由。
──それは「人間のものではない頭脳」。
そして戦いの幕が上がるとき──
天才たちは次々と、世界が「欠陥品」と呼んだ少年の前に膝をつく。
ゼロ──それは、最も完璧な数字だった。