あらすじ
王都で起きた「勇者」殺害事件。伝説の英雄——国民が崇めたはずの彼が何者かに殺された。だが真相は曖昧で、関係者の証言は矛盾に満ちている。被告席に座るのは、かつて勇者と共に戦った“副勇者”の青年。彼は「自らの手で勇者を止めた」と自白するが、その理由は世界を守るために必要だったという不可解な主張だった。
法廷が開かれる。検事は英雄信仰を盾に真相隠蔽を狙い、被告側の弁護団は「英雄の犯罪とは何か」を世界に問い直そうとする。証拠として提出されるのは、戦場の記録、魔法の起動記録、そして失われた第三者の回想記録——それらはやがて「勇者とは誰か」「正義とは何か」を根本から揺るがす。異世界の制度、宗教、戦争の倫理が絡む法廷ミステリ。最後に明かされるのは、英雄伝説の美しくも残酷な裏側だった。