あらすじ
都内の丘にそびえる超高級老人ホーム〈翡翠の苑〉。
入居金は一億円、月額は一般家庭の年収を超える。
だが、そこにあるのは贅沢ではなく――静かに積み上がった“人間の序列”だった。
夫に先立たれ、人生の第二章を生き直そうと入居した**高峰睦子(78)**は、
すぐに気づく。
この場所には、財力・経歴・家柄・子どもの成功・健康状態……
あらゆる指標によって細かく刻まれた 見えないカースト が存在することを。
元財界人の星野、名家の未亡人・山科、
ホームを仕切る“女帝”久我、
そして、外側から彼らを支配するホーム長・鶴岡。
まるで人生の総決算を競い合うように、
老人たちは互いを観察し、比べ、ひそかに値踏みする。
──しかしある日、
些細なトラブルから“カーストの歯車”が狂い始め、
睦子はこの場所に蠢くドロドロとした本音と、
深く隠されていたある“秘密”へと巻き込まれていく。
老いてなお、人はなぜ争うのか。
そして、余生とは誰のものなのか。
静かで残酷で、ときに美しい、
老人たちの“最後の社会”を描く群像劇。