あらすじ
教室の隅で、ひっそり涙をこらえていた――
隣の席の佐伯ひまりは、いつも笑っているのに、
ほんとうの気持ちだけは誰にも見せようとしない。
「大丈夫だよ。なんでもないの。」
そう言う彼女の声がかすれているのに、
クラスの誰もそれに気づかない。
……いや、一人を除いては。
気づいてしまったのは、隣の席の相沢陽斗。
特別なつもりはなかった。
ただ、泣きそうな“その一瞬”が、放っておけなかった。
手を伸ばせば届く距離で、
彼女の笑顔と涙の理由がすれ違うたび――
二人の世界は、少しずつ重なっていく。
秘密を抱えたまま強がるひまり。
その影にそっと触れようとする陽斗。
やがて、ひまりの「泣く理由」が明らかになったとき、
陽斗の胸に走った痛みは、
ただの“優しさ”では説明できなかった。
これは、
涙に気づいた瞬間から始まる、
ふたりだけの恋と救いの物語。
最後の涙が落ちるとき、
あなたはきっと、この二人から目を離せなくなる。