あらすじ
かつて「世界は意志と表象でできている」と語った哲学者は、
なぜか現代日本でトイプードルとして目を覚ました。
名前は「モコちゃん」。
飼い主は、承認欲求強めの人気インフルエンサー・美咲。
不味いドッグフード、過剰なトリミング、
序列争いに満ちたドッグラン、
カメラ越しに消費される日常――
吠えない犬は、ただ黙ってそれらを観察する。
人間の愚かさと、
衣食住を保証された「観照的」生活。
ツッコミはすべて、心の中だけで。
静かで、透明で、少し可笑しい。
邦画のような余白で描く、
“吠えない哲学”の五つの断章。
泣かせない。
教えない。
ただ、光だけが残る。