あらすじ
人生は選べるけれど、環境そのものは本質的に選びようがない。生まれ持った世界をどのように変えるのか、変えられるのかは天稟によるものが大きいのだと個人的に思っているのだから、結局は誰かに縋ることも悪いとは決して言えないのが普通のことで、その普通を当たり前にできない僕は、それでも困っている誰かを救いたいと願う痛々しいだけの中学生だ。だからといってそれを否定されるのは我慢ならないし、何もしない奴に言われる筋合いなど無いのだ。価値のある奴なんていない、価値の無い奴なんていない、互いに互いの主張を食い合ってぐるぐると回っている世界の中で、しかし僕は本当に何もない奴と出会ってしまう。本能で生きて、その心が読めず、ただ生きるだけ生きている、それだけの人間。それ自体は何も否定できる要素は無いのだけど、それを無闇に暴れさせるわけにもいかずにその腕を引いてみたら勢い任せに噛みつかれてしまった。そうすると彼はこちらの魂を喰い尽くすような牙を突き立てて――――。