あらすじ
湘南と横浜をゆるりと行き来する看護学生の、
すこし遠回りで、意外と悪くない毎日。
潮の香りが、気づいたら部屋の中まで入り込んでくる朝。
湘南・辻堂で育った凛花は、
いま看護の学びの真ん中にいる。
実習の日はいつもより早起きで、
眠い目のまま病棟へ向かう途中、
「なんで私だけ空気抵抗2倍くらいあるんだろ」
と風に押されつつ自転車をこぐ。
まあ、風の気まぐれにはだいたい勝てない。
課題が多い日は、
「あ、今日は“気持ちに余白ゼロの日”か」
と静かに受け入れ、
そんな日は決まって
横浜のカフェに寄り道して、
とりあえずコーヒーだけは確保する。
でも、凛花には
少しだけ遠回りしたからこそ
今をちゃんと向き合いたい理由がある。
実習の緊張、
母との小さなすれ違い、
海沿いで深呼吸したくなる夕方。
なんでもない出来事が、
少しだけ心を揺らしてくる。
そんな日々を、
彼女は大げさじゃなく、淡々と歩いている。
風の向きで、気分も変わるくらいの感じで。
すべての看護学生と、元看護学生の皆様、
そして、医療関係者じゃないあなたへも。
ちょっと疲れた日、
思ったより大丈夫な日、
ひと恋しい夜、
理由なく落ちる夜——
そういうのは誰にだってある。
この物語は、
そんな“今日のどこか”にそっと置いておける、
軽めの読みものです。
背筋を伸ばすほどでも、
泣くほどでもないけれど、
なんとなく気分が整う。
そんな風になれたら、と思っています。