あらすじ

「魔力が、足りない」
その一言が、彼女のすべてを奪った。
剣と魔法が交錯する戦場の最前線。治癒師であった彼女は、最後の光を絞り出そうとするが、魔力はすでに空っぽだった。目の前で仲間が倒れ、鮮烈な「赤」が視界を染める。彼女の胸を貫いたのは、敵の刃ではなく、「治せなかった」という、あまりにも重い後悔だった。
意識が途絶えた後、彼女は白の世界でこう問われた。
「次は、どうする」
答えは、決まっていた。
「やり直したい」
魔力切れで誰かを見殺しにする過ちを、二度と繰り返さないために。
そして、彼女は願いを叶え。記憶を抱えたまま、別の世界で「ルーシェ」という名の赤子として。
粗末な家屋、貧しい暮らし。それでも、温かい両親の腕の中で、彼女は静かに成長を始める。幼い体で何もできない日々。しかし、その胸の奥には、前の人生で失ったはずの治癒の光が、微かに、しかし確かに脈打っていく。
彼女が手に入れたのは、時間。
前の世界では許されなかった、ゆっくりと力を蓄えるための、無限にも思える時間。
二年後。彼女が暮らす村は、魔法とは無縁の、素朴な場所。怪我をすれば、ただ祈るしかない。そんな現実の中、狩りに出た若者が、魔獣に襲われ深手を負う。
胸の光は、強く脈動する。今なら、ほんの少しなら、救えるかもしれない。
しかし、彼女は動かない。
前の世界の失敗が、脳裏をよぎる。焦り、暴走し、すべてを失ったあの日の記憶。
彼女は、幼い拳を握りしめ、静かに誓う。
「誰かを救う前に、自分を壊さない」
これは、後悔を背負った元治癒師が、幼女として転生し、過去の失敗を乗り越え、真の光を灯すまでの、静かで、しかし確かな再起の物語だ。

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アルファポリス
アルファポリス2025/12/17
  • 現在の作品魔力切れで仲間を救えなかった私が、異世界で再び「治癒の光」を灯すことになろうとは