あらすじ
――その日を、人は審判の日と呼ぶ――
無機質なコンクリート造の巨大な建物。広く開け放たれた入口は暗い奥へと続き、まるで海獣の喉奥へと飲み込まれていくよう。そこに巣食うのは、果たして人か、それとも魔物か――。
この建物の一角に設けられた試験会場には、この日、国の各地から若者たちが集まっていた。彼らは己の未来を賭け、一斉に筆記試験に挑むのである。
楕円形のホールには机と椅子が整然と並び、その一つひとつに緊張と期待を宿した受験者が腰を下ろす。そして時を迎えると、彼らは一斉にペンを走らせた。
カリ、カリ、カリ……。幼虫が木の内側を食い進むような細かな音が、ホールの隅々へゆっくりと染み渡り、蠢く。