あらすじ
闇の王と呼ばれる黒騎士ヴァルゼンには、触れた者を闇に呑み込んでしまう力があった。幼い妹をその力で失った過去から、彼は誰にも近づかず、孤独に生きることを選んでいる。そんな彼の前に、光導国の巫女リュシアが現れる。彼女は生まれながらに光の力を持ち、闇を浄化する稀有な存在。だが、光と闇は相性が悪く、触れればリュシアさえも危険にさらされる。
リュシアは最初、ヴァルゼンの冷徹で無愛想な態度に戸惑うが、少しずつ彼の孤独と恐怖の理由を知る。任務や戦乱の中で、彼女の光はヴァルゼンの暴走する闇を鎮め、二人の距離は少しずつ縮まっていく。しかし、闇に呑まれた妹の存在やヴァルゼン自身の恐怖は、常に二人の間に影を落とす。
物語は、二人が共に闇と光に挑む壮大な戦いの中で、嫉妬や誤解、切ない抱擁や初めてのキス、命の危険を伴う禁断の接触など、胸を締めつける恋愛イベントが散りばめられる。闇の暴走寸前に抱きしめ合い、光によって救われる瞬間は、読者に緊張と感動を与える。妹セレナの昏睡と再生も、ヴァルゼンの心の葛藤と成長を際立たせ、恋愛とファンタジーの両軸で物語を深める。
50章にわたる本作は、冷たく見える騎士の内面に秘められた愛情、運命に翻弄されながらも強く生きる巫女の勇気、そして闇と光が交錯する圧倒的な世界観を描く。触れれば壊れるかもしれない――その危うさが、読者をハラハラと引き込み、主人公たちの一挙手一投足に心を奪われる。恋愛、復讐、救済の要素が絡み合う、胸が熱くなるファンタジー長編の決定版である。