あらすじ
廃工場で働く男、木下慎吾(32)。彼の仕事は、都市の残骸であるスクラップの山から、鉄、銅、アルミを仕分けること。ある夜、彼はスクラップの中に異物を見つける。それは、人の手のような突起を持つ、奇妙な弾力のある鉄塊だった。
それは所長代理の元ヤクザが裏で処理する「曰く付き」の中でも最悪の存在――『クズの鉄』。それは人間の怨念と意識が、特殊な方法で圧縮された、生きた金属だった。その声を聞き、触れてしまった慎吾の体は、鈍い鉄のように変質し始める。
工場全体が唸り声を上げ、増殖する呪いに呑まれていく中、慎吾は恐怖の連鎖を断ち切るため、巨大なプレス機へと向かう。逃げ場のない、鋼鉄の密室ホラー。☆「この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません」